初めてのローグライク? 2020年のおススメはこれだっ!

「Nethackのようなゲームシステム、選択の自由があって、難しくて理不尽だけどローグライク初心者でも挫折することなく楽しめるローグライクってないのかなぁ~」

私がブログを書き始めてから、そんなことを思い続けて2年ほど経ちました。そして2020年、彗星のごとく私の目の前に現れたのが本作でした。(開発自体は2015年からされていた模様)

ローグライクというジャンルを初めて知った、オープンソース(無料)のローグライクだけでも大量に出てくるけど最初にプレイするなら何が良いんだろうと悩んでいる方、朗報です!。



初めての方でも伝統的ローグライクが楽しめる「Pathos: Hail Adventurer」をおすすめします。(公式webサイトのWindows Desktopの方をDLしましょう。Windows Storeの方は挙動が不安定なので非推奨です)

ホームページの冒頭説明文にもあるように、本作は古典的名作ローグライクである「Nethack」の魂を引き継いだダンジョン探索型ローグライクゲームです。2Dタイル版、サウンドエフェクト(ここ重要)、そしてモバイルフレンドリーなユーザーインターフェース。

そう、本作はPC版だけでなくスマホ版(Android, iOS)もリリースされています。タップだけで操作が完結するのでスマホでも古典的ローグライクのリメイクとは思えないほど、操作性は良いです。本作はPCまたはタブレット(画面は大きいほど良さげ)でプレイするのが快適かもしれません。(PCとスマホ(5インチ)でプレイした私の感想)

Nethackを知っている、プレイしたことがある方ならオリジナルの再現度の高さ、そしてローグライク初心者への配慮の多さに驚くことでしょう。

本作はNethackプレイヤーだけでなく、ローグライク初心者がプレイすることもしっかり考慮されていて、挫折しそうなあらゆるポイントにセーフティネットが張られていると感じました。とにかく、Nethackではもはや壁じゃんと思うほど高かった敷居が、本作では和室の敷居くらい低くなっており気軽にプレイしやすくなっています。

そして、最も注目すべき点として2019年に熱心な有志プレイヤーたちによる日本語訳がほぼ完成(96%)しています。言語の壁も無くなり快適にプレイできる環境が整いました。

追記(11/23) 
日本語化が進んでるな~、と思ってたら100%になってました。これで完全に日本語でPathos Nethackが楽しめるようになりました。ありがとうございます!!
(追記終わり)

カジュアルだけどNethackらしさは失われていない

本作はNethackの良い所は残しつつ、悪い所はばっさりとカットしているところが特徴的です。Nethackに限らず古典的ローグライクによくある初心者お断り要素として以下の点が挙げられます。
本作でこれらの要素がどう改善されたか書いていきます。


1.膨大な前提知識とスポイラー情報

本作は画面左端のタブを開くと画面左上の方にヘルプが出ます。そこにはプレイアブルキャラクターはもちろん、ダンジョンで出てくるあらゆるオブジェクトに関する情報が載っており、検索すれば出てくるという親切設計になっています。試しにインデックスで"コカトリス"と検索すると、

序盤のわからん殺し最強格コカトリス。本家ほどではないがPathosでも凶悪な性能を誇っている
このように"コカトリス"がどういう種族のモンスターで、強さはどうか、ステータスはどうか、何の属性耐性をもっていてどんな攻撃をしてくるか、そして"コカトリス"を倒した時に落とす死肉を食べるとどうなるか、と事細かに調べることができます。

ちなみに本作は床に字が書けないのでEの字はありません。宝石、杖の識別とかもできません。こういうスポイラー的要素が色々排除されていて初心者に優しくて良いな~と私は思いました。


2.隠れステータス、キーボード操作、コマンド入力

Nethackでは隠されていたステータスが可視化されています。空腹度、カルマ、重量(ポンド/kg)などが全て数値データとして確認でき、各状態の水準がヘルプ内のガイドで公開されています。

Nethackを始めた最初の頃ってwikiを見て調べないと本当に何もわからくて(わかるのは単純な操作方法くらい)、何も食べずに戦ってて気づいたら餓死してたとか、#prayコマンド利かないな~と思って連打してたら神様にめっちゃ怒られて死んだ~みたいなことが起きるわけです。でも本作だと、タップ(クリック)で操作はなんとかなるし、上に挙げたようなデータは数値として確認できるためそういうしょうもない死に方をしてアンストすることはないので良いな、と思いました。

操作性はPC版でプレイすると感じますが、本当に必要最低限って感じです。Nethackのviキー操作に慣れた方からすると、マウスも併用するので少しまどろっこしいと感じるかもしれません。でも、これからローグライクを始める方には取っ付きやすい操作性になっていると思います。
本作をプレイし始めた時は"_>."と押して階層移動できないことが少し不満でしたが、tabキーで地図を表示して位置クリックで自動移動してくれるからいっかー、と思ってます。(スマホ向けに操作を最適化してるんだな、とちょっと感心しました)

PC版で良いなと思った点はキーボード操作の簡略化、特筆すべきはコマンド入力のタップ化ですね。#pray、#offer、#dip、#loot、#untrap、#enhance、等々。それらのコマンドが本作では全てタップするだけで解決できるようになっています。(凄い、凄くない?)
ゲーム内情報をオープンにしたことによるメリットがこういうところに活きているんだな、と感じました。

3.ゲーム画面=コンソール画面。タイル版もあるけど・・・

ゲーム画面は明らかに見やすくなっています。現在、タイル版は4種類あり、タイルの大きさもかなり自由に変えられます。(私のおススメタイルはsonyvandaです、ドット絵がかわいい!)

左上には空腹度(満腹)、麻痺(120ターン!?ええ、この後死にました)、失明、混乱などの時間経過で回復する状態異常、右上側には病気や罰などの自然治癒しない状態異常が表示される
特に良いと思ったのが、自身の状態、ステータス異常が画像でわかりやすく表現されていること。ちょっとした状態異常が簡単に死につながる本作においてこういう大事な情報を見やすく表示されてるのは本当にありがたい。

4.表現はテキストのみ、BGM、SEは存在しない

今までいろんなゲームを楽しんできましたが、一切のサウンドが存在しなくても楽しめるゲームジャンル、私はローグライクぐらいしか知りません。そんなローグライクにサウンドという要素が追加されたら。もっと面白くなるに決まってますよね!
本作はもちろんサウンドあります。「難聴」という状態異常があることからわかるように音が聞こえることがダンジョン攻略にとって重要な要素の一端となっています。
本作に慣れてきた頃にはレプラコーンの怪しげな笑い声、ニンフの退屈そうなため息に恐怖感を抱くことになるでしょう。

グラフィック、サウンドの自由なカスタマイズ機能

この要素はゲームプレイにはあまり関係ないのですが、これができるローグライク、私はほとんど知らない(そしてあったら嬉しい機能でもある)ので言及しておきます。先ほど、使えるタイルは4種類と書きましたが、グラフィックは自分好みにカスタマイズできるので種類は実質的に無限通り!

左のタブを開き、"診断"→"タイル" のページでグラフィック変更のページに飛べます。モンスター、アイテム、魔法、スキル、ユーザーインターフェース画像等々、ゲーム上で見えている画像は全て変更が可能です。

"音響"のページはこんな感じ。こちらもゲーム上で聞こえる音は全て変更が可能です。

このカスタマイズの自由度、ワクワクしませんか。私はかつてプレイしていたelonaというゲームを思い出しました。elonaをプレイされた方ならキャラチップ、アイテム、モンスター画像等の差し替え、サウンドの差し替え、やったことあると思います。というか、やってますよね! 
私は理想のelona像を追求してゲーム本編そっちのけでグラフィックを探していた時期もあったくらいです。
本作でもグラフィック、サウンドはかなり自由に変えられるのでゲームをカスタマイズするゲームとしても楽しめそう。

Nethackのゲーム性+elonaのカスタマイズ性+ポータブル性=Pathos

本作はNethack的要素をカジュアルに楽しめるだけでなく、elonaのようなグラフィック、サウンドのカスタマイズ性の自由もきくことから、創作というゲーム以外の方面でもやりこめるでしょう。こういう楽しみ方ができるのはelona以来なので実にうれしい。

これまで、初心者向けそして熱中できるローグライクを探してきました。2020年、ついに本物を見つけた気がします。Pathosはこれまで私が紹介してきたローグライクとは一線を画しています。本作はNethackの精神を引き継いだ完成度の高い伝統的ローグライクかつ、新たなローグライクプレイヤーの裾野を広げる作品となることでしょう。

こう言い切れるのはやはりスマホで普通にプレイできるということ。スマホゲームユーザーという大きな数を考慮するとこれは物凄く大きなアドバンテージです。伝統的ローグライクをスマホ向けに最適化するというのはなかなか真似できないことだと思います。
Pathosをスマホローグライクとして見た時、どれだけ優位をとっているか私にはわかります。ちなみに私がプレイしたスマホ操作難易度を比較すると以下の通りです。

Nethack >>> コマンド入力の壁 >>> DCSS >> 仮想キーボードの壁 >> Pathos > Pixel Dungeon

こんな感じですね。ま、NethackとDCSSはPC版そのまま移植しただけって感じでスマホのUIに最適化する気が無いみたいなので仕方無いですが。そういった伝統的ローグライクの悪い所は見習わずにスマホユーザーにも楽しめるように操作性を最適化したところ、本作はもっと誇るべきだと思います。

おわりに

私が本作を初めて知ったとき(2017年だったかな)は「う~ん、確かにNethackを元に作られたのはわかるけど、これならNethackで良くない?」と思って即アンストしたくらいだったのですが、今年の4月ごろに再び思い出してプレイしてびっくり。
操作性、ゲームバランスは間違いなく良くなってるし、Nevanda氏のタイルセットが追加されてるし、日本語化されてるし等々。以前にプレイしたときとは別次元で進化していました。本作は今後も更に進化していくことが期待できる、そしてこれからの進化が楽しみな作品です。

おまけ

試しに私が好んでプレイするヴァルキリーの画像を差し替えてみることに。元画像をエクスポートしてPixel Studioを使って槍から長剣に持ち替えさせてみました。作成した画像をインポートすればゲーム内に反映されます。
本当はエクスカリバーイメージだったのですが、ただの長剣になってしまった気がする。やっぱりドット絵って難しい。

ヴァルキリーの差し替え画像が反映されました。なんか、思ったより違和感なくて個人的には良い感じ。 (でもよく見ると、長剣ですらない謎の武器に見える気がしてきた・・・)
ドット絵画像とかサウンドを自作できたら、本作はもっと楽しめそう。ドット絵の勉強はやる気になっては心折れてを繰り返してますが、これを機に今度こそちゃんと勉強したいなと思いました。

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